クリエIDER、古巣NYレンジャーズへ凱旋：復活と感謝、アナハイムでの新たな船出

13年間過ごしたニューヨーク・レンジャーズの本拠地、マディソン・スクエア・ガーデンに、アナハイム・ダックスの選手としてクリス・クリエIDERが凱旋する。かつて「ホーム」と呼んだ街で、健康な心身とアナハイムでの好調なスタートを切った彼が、古巣との対戦に臨む。ニューヨークへの思い、そしてダックスでの新たな挑戦について、本人が語った。

ニューヨークへの特別な思いとダックスでの再起

凱旋試合への心境

「ピッツバーグ、アイランダーズ、デビルズ、レンジャーズ、コロンバスへの遠征のことかい？」「10ポイントがかかってる試合だ。どれについて話したい？」と、クリエIDERはいつものようにユーモアを交えながら、自身の移籍や古巣戦への注目をそらそうとした。しかし、13年間過ごしたレンジャーズ、そして「ホーム」と呼んだニューヨークへの思いは格別だ。ドラフトされた18歳から34歳になるまで、キャリアのほとんどを過ごした街であり、家族も築いた場所。「言葉で表すのは難しい。全てを意味するよ」と、当時の組織、関係者、そしてファンへの感謝の念を語った。

レンジャーズでの功績と別れ

2025年6月のトレードにより、クリエIDERは突然の移籍を経験した。激動のシーズン、GMからの声明、怪我、そして敗北。そんな中での移籍は、マディソン・スクエア・ガーデンのファンに涙の別れを告げる機会も与えられなかった。レンジャーズ史上3位の最多得点記録を持つ彼のユニフォームが、ブルースーツ以外になる姿は想像しがたいものだった。しかし、本人は「来年、来月、来週、明日のことさえ予測するのは傲慢だと思う。だから、すべてを受け入れるだけだ」と、冷静に語る。そして、「物事は理由があって起こる。今は自分の状況に満足している。そこへ行くことで、西海岸では会えない人たち、友人、家族、元チームメイトに会える機会が得られるだろう。それに、大事な2ポイントがかかっている」と、前向きな姿勢を見せた。

チームメイトからの評価

元レンジャーズのチームメイトであるライアン・ストロームは、クリエIDERを「リーグで最も興味深い人間の一人」と評し、そのプレーぶりや人間性を称賛した。「大きなゴール、プレーオフでのゴール、ビッグモーメント。彼は変わっていない。それが一番いいところだ」と語る。フランク・ヴァトラノも、「彼は組織にとって全てだった。特にプレーオフでの彼のパフォーマンスを見れば、彼はフランチャイズ史上最高のプレーヤーの一人かもしれない」と、その功績を称えた。クリエIDERは、レンジャーズのレギュラーシーズン通算パワープレーゴール記録で1位タイ、ゲームウィニングゴールで2位、ショートハンドゴールで4位、ポイントで10位にランクインしており、これは1926年から続く球団の歴史の中でも特筆すべき数字である。

アナハイム・ダックスでの新たなスタート

心身の健康とパフォーマンスの向上

ニューヨークでの最後のシーズンは、クリエIDERにとってもチームにとっても厳しいものだった。怪我に悩まされ、ゴール数とポイントは自己ワーストを記録。しかし、アナハイム・ダックスに移籍してわずか28試合で、34歳になったクリエIDERは、昨シーズンのゴール数をすでに上回り、ポイントでもそれに迫る勢いを見せている。彼は「最高の能力は、利用可能であることだ」と語り、怪我の回復と心身の健康が、リンク上でのプレーに集中できる要因であることを強調した。ダックスのパワープレーユニットを活性化させ、若い選手たちのリーダーとしても存在感を発揮している。

チームへの適応と若手への影響

「このチームが僕をとても受け入れてくれたんだと思う」とクリエIDERは語る。トロイ・テリーやジェイコブ・トゥルーバーといった選手たち、そして既に親しいヴァトラノやストロームとの関係、さらにはコーチ陣やスタッフ全員が、彼がチームにスムーズに溶け込むのを助けているという。特に、リンクサイドでの彼の振る舞いやネット前でのプレーは、レオ・カールソンやベケット・センネッケといった若手選手たちの模範となっている。「彼はいつも、自分が得意とする5つのことだけをしようとする。そして彼は常にそうしてきた。ゴールを決める、ネットにいく、ハードワークする、スケートする。本当にシンプルだ」とストロームは語る。クリエIDERは、健康な体、健康な心、そして充実したプレーで、ダックスに新たな風を吹き込んでいる。

古巣戦への期待と今後の展望

古巣レンジャーズとの対戦は、クリエIDERにとって特別な意味を持つ。かつてのチームメイトであるジェイコブ・トゥルーバーも共にニューヨークへ戻るが、この夜はクリエIDERのための夜になるだろう。チームメイトたちも、彼の功績を称え、温かい歓迎を受けることを願っている。クリエIDER自身も、「熱狂的で、情熱的なファンベースだ。特に調子が良いときはね。興味深い夜になるだろう」と、古巣戦への期待を語った。アナハイムでの成功を糧に、クリエIDERはニューヨークでの凱旋試合で、どのようなプレーを見せるのか。そして、この勢いは今後どのように続いていくのか、注目が集まる。