幻覚剤使用後の救急搬送、躁病・双極性障害リスク増加との関連:大規模研究が警鐘

幻覚剤使用後の救急搬送、躁病・双極性障害リスク増加との関連:大規模研究が警鐘

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近年、幻覚剤の使用が世界的に増加傾向にある中で、その精神医学的リスク、特に躁病や双極性障害(BD)の発症リスクとの関連が注目されています。カナダの大規模コホート研究により、幻覚剤に関連する救急外来受診や入院といった急性期医療を受けた経験が、その後の躁病または双極性障害の診断リスク増加と関連している可能性が示されました。この研究は、930万人以上の住民の医療記録を分析し、幻覚剤関連の急性期医療を受けた人々が、そうでない一般人口と比較して、3年以内に躁病エピソードを経験するリスクが25倍高いことを明らかにしました。

研究の概要と結果

この研究では、幻覚剤に関連する救急外来受診や入院といった急性期医療を受けた人々は、そうでない一般人口と比較して、3年以内に急性期医療を必要とする躁病エピソードを発症するリスクが25倍高いことが明らかになりました。さらに、調整後の解析でも、幻覚剤関連の急性期医療は、躁病リスクを約6倍、双極性障害(BD)の診断リスクを約4倍高めることが示されました。

大麻との比較による考察

興味深いことに、幻覚剤関連の急性期医療を受けた人々におけるその後の躁病リスクは、大麻関連の急性期医療を受けた人々との比較においては、統計的に有意な差は見られませんでした。この結果は、幻覚剤、特に救急搬送を必要とするような使用パターンが、大麻の使用とは異なる、あるいはより特異的な精神医学的リスクと関連している可能性を示唆しています。

拡大する幻覚剤使用への警鐘

幻覚剤は、精神疾患治療薬としての可能性も探求されていますが、その一方で、特にリスクの高い集団においては、躁病や双極性障害といった深刻な精神疾患を誘発するリスクがあることを、今回の研究結果は強く示唆しています。幻覚剤の使用がレクリエーション目的であれ、治療目的であれ、その普及が進む中で、公衆衛生政策、臨床実践、そして研究においては、これらの潜在的なリスクを十分に考慮し、注意深く監視していく必要があります。特に、精神疾患の既往歴がある人々や、そのリスクが高いと考えられる人々に対する教育や情報提供が重要となるでしょう。

画像: AIによる生成