LA 2028 オリンピック：史上最も持続可能な大会を目指す革新的な計画

2028年ロサンゼルスオリンピック・パラリンピック競技大会（LA28）は、新たな会場建設を行わないという公約を掲げ、史上最も環境に配慮したオリンピックの実現を目指す、野心的なサステナビリティ計画を発表しました。パリ大会の進捗をさらに上回るべく、廃棄物削減と地域社会への資源還元を核としたこの計画は、持続可能性の新たな基準を打ち立てようとしています。

LA28、環境負荷低減に向けた多角的なアプローチ

会場建設ゼロでCO2排出量を大幅削減

LA28の最大の特徴は、オリンピック開催のために新たな会場を一切建設しないという点です。これは、1948年のロンドンオリンピック以来の試みとなります。ロサンゼルスが持つ既存のワールドクラスの会場インフラを活用することで、建設に伴うCO2排出量を大幅に削減します。また、ほとんどの競技会場が選手村（UCLAキャンパス）から35マイル（約56km）圏内に位置しており、移動による環境負荷も最小限に抑えられます。ただし、LAクリッパーズの本拠地であるイントゥイット・ドームのように、大会のために直接建設されたわけではないものの、大会期間中に活用される大規模施設については、その排出量がLA28のサステナビリティ目標達成におけるカウントには含まれないという側面もあります。

「ラディカルな再利用」で廃棄物を最小化

LA28は、大会で使用される一時的なインフラ資材の90％を再利用またはリサイクルすることを目標に掲げています。これは、レンタル、買い戻し、寄付などを組み合わせることで達成されます。パリ大会でも、ボランティアのユニフォームや余剰スポーツ用品などが大会後にチャリティオークションなどで再販され、持続可能性への意識を高めました。

再生可能エネルギーへの完全移行

大会期間中に使用される電力は、100％再生可能エネルギーで賄われる計画です。多くのイベントが発電機に依存する中、電力網から再生可能エネルギーを調達することで、大会のカーボンフットプリントをさらに削減します。これは、持続可能なエネルギー利用への明確なコミットメントを示しています。

公共交通機関の利用促進と自動車の削減

LA28は、「強化された公共交通機関」の利用を推進し、ファンが会場間をスムーズに移動できるようにします。バスなどの公共交通機関を最も魅力的な選択肢とするためのインセンティブや利便性向上策が検討されており、駐車スペースの確保といった負担を軽減し、環境負荷の少ない移動手段の普及を目指しています。

使い捨て容器の排除

会場での飲料提供においては、使い捨て容器の使用を排除する方針です。パリ大会のように、デポジット制の再利用可能なカップを導入し、回収ポイントでの返却によりデポジットが返金される仕組みなどが考えられます。これにより、大規模な廃棄物削減が期待されます。

持続可能性への投資：コストと効果のバランス

これらのサステナビリティへの取り組みが、追加コストを生むのではないかという疑問に対し、LA28の関係者は「グリーン化や持続可能性は、必ずしもコスト増につながらない」と指摘しています。エネルギー効率の向上や廃棄物削減といったイニシアチブは、運営コストの削減にもつながるため、経済的なメリットも期待できると述べています。しかし、最終的には、選手、役員、そして観客一人ひとりが、マイボトルを持参したり、公共交通機関を利用したりするなど、個々の行動を通じて排出量削減に貢献することが求められます。システム的な変革と個人の行動の両方が、持続可能なオリンピック実現のためには不可欠であるというのが、LA28のメッセージです。